雨橋のつぶやき日記

ゲイの文系院生、考えたことをつらつら書いてます。

親にカミングアウトすること

こんばんは。

金曜は休みなので、夕方散歩がてら二駅分歩いて輸入品店に行ってきました。

歩くのは全然苦でない人間です(笑)

 

今日は真面目に親へのカミングアウトの話。

あくまで私の経験談です。結構長いです(笑)

決して武勇伝や美談にしたいわけではありません。

それと親へのカムアウトを

勧めるものでも引き止めるものでもありません。

主観ながらアドバイス的なものも付しましたが

あくまで私自身の経験則なので絶対ではないです。

 

親へのカムアウトを考えるセクマイの方、また子にいざされたら…と考える親御さんに「一例」して読んでいただければ嬉しく思います。

 

私は19歳の時、カミングアウトしていないヘテロ(異性愛者)の飲み会のノリについていけなかったり、また異性愛者を好きになってしまったりと結構ボロボロでした。家族に相談したいけど親は私をヘテロだと思ってるため、問題の核心部分(=ゲイであること)を言わないことには話ができません。

 

その頃カミングアウト済みのある女性の先輩が気を利かせてドライブに誘ってくれました。夜の21時頃です。一連の話をすると「親に言えばいいじゃん。てかいいなよ。今すぐ。」と言われました。

正直、軽く言われたことに少し腹を立てました。

けど今はこの先輩に(偶然にも)救われたと思います。

 

私は「親にいつか言いたい」とは思っていました。

「18歳の誕生日」とか「一人暮らしを始める時」とか、けどいざその時になると言えないんですよね(笑)

 

先輩いわく「文脈は違うけど、自分の子がなんの罪もないのにいじめで苦しんでて、親はそれを相談して欲しくないと思う?全員が全員とは言わないけど、多くの親は力になりたいって思うと思うよ」と言われました。

私は車の中で何度も考え、いう決心をしました。

「何があっても私は味方」と言ってくださった先輩を残し、電話を片手に車外へ出ました。

 

薄暗い路地に座り親に発信。

呼び出し音が響くこの時ほど

緊張した瞬間は無かったです。

 

「もしもし?」母親が出ました。

私「うーん、ちょい話したいことがあって」

親「へー、学校の話とか?」

私「いや、もっと大事っていうか、、、

驚いたり否定したりせんで最後まで聞いてほしい」

この時点で私はかなり泣いていました。

 

親は「何?…とりあえず聞くわ」と。

私は全てを話しました。

「昔から彼女いらないとか結婚しないとか女に興味がないみたいなこと言ってたやん?それは知っとると思うんやけど、、、『男』が好きなんよ」

親は沈黙の後、「え…」との返事。

 

親「それはどういうこと?女の子になりたいの?」

これは言われるだろうと思っていました。

セクマイに詳しくない人なので仕方ないかな、と。

私は男として男が好きだという旨も伝えました。

 

電話口、親はかなり困惑していたと思います。

親「とりあえず…分かった」

私「急にごめん、ほな切るわ」

それでその時の会話は終了。

カミングアウトして良かったのか、良くなかったのか。車内に戻って先輩の前で大号泣しました。

 

それから三週間ほど家族と連絡を取らずいた中、

両親の結婚記念日。私は親に電話をかける勇気がなく妹に「結婚記念日おめでとうって伝えておいて」と頼みました。すると母から「覚えてたんやな、ありがとう」とメールがきました。

 

私はやはり直接顔を見て話がしたいと思い、授業を休んで急遽帰省。実家に近づくにつれ心臓バクバクでした。バスで朝ついたのですが親は洗濯を干しながら普通に「おかえり〜とりあえず寝たら?」と。

親は無理していたかもしれませんが、今までとかわらない対応に部屋でまた泣きました。

 

疲れて寝たその日の夜、親としっかり話しました。「実は薄々気づいてはいた」と。

彼女いるの?と聞くと嫌な顔をすること、女子といる方が素っぽい感じがしたことなどから察したそうです。けどどこか信じたくないと思っていたらしいです。

 

私はそのことには怒りを感じませんでした。

社会が強く、異性愛規範的、男女二元的ですから。

 

親も私もかなり泣いていました。

親はショックとかではなく「ある意味言ってくれてスッキリしたから」とのこと。

なんか人生で初めて親と腹割って話せた気がしました。

 

ですが、ここからが割とポイントです。

おおよそ5年経った今、親とは良好か?

良好と言えばそうですが違うと言えばそうです。

いえ良好なのですがサラッと彼氏の話はしにくい。

今でも彼氏と会うときは「友達に会いに行く」と言っていきます。

 

私はヘテロの中で育ってきたので、ヘテロ社会を強制的に解すよう生きてきましたが、親はゲイに初めてカムアウトされた。しかも息子からだった。

ある意味急に酷なことをしたとの反省はあります。

なので親はやはりもう少し時間を要すと思います。

私も急かすつもりはありません。

 

それと生まれが狭いコミュニティで、私が良くても「世間体」というものがあります。

残念ながらこれは私1人の問題では無いんですよね。

決してゲイがダメとかではないですが「雨橋、ゲイらしい」という情報なぞ一日で広まる地で…。「父が仕事、母は家事」「長男が家を継ぐ」みたいな考えも強い地、ホモファビックな雰囲気も強いです。

 

正直私1人がセクシュアリティに関してボロカスに貶されようがどれだけ陰口叩かれようが構いません。しかし私のせいで家族や親戚がそうなるのはツライです。

例えば、妹が結婚する際、「嫁の兄がゲイ」「同性愛者の血が入る」という理由で向こうの親に結婚を断られる可能性って残念ながら0の保証は無いです。

 

以上が私の経た親へのカミングアウトです。

親がそこまでガチガチに堅い人ではなかったことが、ある意味では救いだったと思います。

「結婚できない、孫の顔を見せられない」というのも「自分の人生だし好きにしたらいい」とのこと。なので好きにします(笑)

 

アドバイスなんて大層なものでは無いですが

思ったこととしては以下です。

 

「する側の場合」

親のホモフォビアとかって割とあてにならないです。「言っても大丈夫だと思って親に言ったら全否定された人」「ホモフォビアな発言してたけど言ったら理解してくれた人」両方知っています。ちなみに私は後者に近いです。

 

脅すわけではないですが、私がもしあのとき親にすべてを否定されて、縁切られてたら今頃どうしてるんだろうって思います。なので私のように突発的でなく、「万一に備えて」おいたほうがいいかもしれません。というのは経済的な面などですね。

 

それと完全な理解を求めるとあとあとツライです。

 

「される側の場合」

した側からすると、カミングアウトを途中で「聞きたくない」と否定したり遮ったりせず聞いてくれるだけでありがたいです。一通り聞いたあとは一言「わかった」で大丈夫です。それに「味方であること」それがその時は無理そうでも「敵ではないこと」を伝えて欲しいです。

周りの親御さんには「他人の子なら気にしないけど自分の子がいざ同性愛者だと悩む」という人がいます。家族という間柄、仕方ないと思います。

だからこそ悩んだり困ったりすると思いますが、「信頼して言ってくれた」と捉えて欲しいです。

恐らくですが「親にいう」という行為でかなり憔悴しています。

気持ちの整理ができなくても否定、批判は避けて欲しいなと思います。

 

それと余裕ができれば!「異性愛者の知識しかない」と悲観的にならず、好きな人とはお互い思いやりを持って、またセックスの際はセーファーを心がけてという旨を遠回しにでも伝えて欲しく思います。

 

熱くなりかなりの分量になりました。

そろそろ終わりますね。

 

当分、異性愛規範的な世界、すなわちカミングアウトが必要な世界は続きます。

異性愛規範自体を疑うような人が増えていって欲しいなと思います。